『泥の河』(宮本輝作)

 宮本輝氏の多分最初の作品『泥の河』を読んだ。1977年の太宰治賞受賞作品である。

 宮本氏の名前は知っていたが、昭和の時代の NHK のアナウンサーである宮田輝氏と一字違いだな、という事しか記憶になかった。2週間ほど前、急に38度の発熱に襲われ、1日寝て過ごした事があった。その時、宮本輝氏と NHK のアナウンサーとの対談の番組を見た。冒頭のリンク先にも書かれているが、サラリーマンをしている時、立ち寄った書店で、有名な作家が書いた、雑誌の巻頭を飾る短編を読んだ時、「面白くない、自分の方が巧く書ける」と思い、すぐに奥さんに電話して、会社を辞めて作家になる事を告げたという。奥さんも、反対はしなかったとか。サラリーマンをしている時、パニック障害になり、大変苦労されていたようである。このテレビ番組を観て、宮本氏の作品を読んでみようと思った。

 『泥の河』という作品は、大阪の中之島の端建蔵橋のたもとの小さな食堂の子供の信雄が主人公。時期は、昭和30年。まだ高度経済成長が始まる前である。近くの湊橋の下に停めた小さい廓舟(くるわぶね)で生活する母子家族との出会いと別れの話である。この舟は、長い間一所に停留させて貰えず、場所を移しながら生活していた。そこの二人の子供は、学校にも通っていない。『泥の河』は映画にもなっていることを、上のリンクで知った。いつか観たい。

 この小説の舞台を Google Maps で調べた。下の図をクリックすると、綺麗に表示されます。また、こちらをクリックすると、Google Maps が立ち上がり、表示スケールも変更できます。
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 この小説を読んでいると、私の子供の頃を思い出した。小学生の頃、家庭が貧しいために、毎日学校に来れない生徒もいた。私が住んでいた広島県尾道市向東町(当時は尾道市に合併される前で、御調郡(みつきぐん)向東町)の家の近くに、東西橋という橋がある。向東町と向島町(向島の西部)の間に流れる入り川に掛かっている短い橋である。その下に小さな小屋を作って生活している家族がいた。子供もいたが、向島町の方の学校に通っていたのであろうか、遊んだり話をしたことはない。人間社会、自分の頑張りだけではどうしようもないものもある事を感じざるを得ない。
by utashima | 2008-04-19 17:00 | 読書 | Trackback | Comments(0)
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