接触軌道とは

 必要があって、10年以上前に自分で導いた摂動に関係する式を記したメモを読み返していた。そのメモを理解するには、通常の(平均ではない)ケプラー軌道要素が、接触軌道の6要素であることが本質的に重要であった。

 ネットでは、「接触軌道」がどのように説明されているか興味を持ったので、Google で検索してみた。ある天文台のページには、以下のように説明されていた。
天体の軌道要素は惑星の摂動によって刻々と変化している.接触軌道とは,ある瞬間における天体の位置と速度を,そこでの値として持つ軌道のことを言う.また,その“瞬間”のことを接触元期という.

 これでは、殆ど説明になっていないと思う。別のサイトでも似たような不十分な説明であった。そこで、外国のサイトも含めて検索してみた。Answers.com というサイトには、一つの言葉に対して、複数のサイトの説明が記載されている。osculating orbit という所には、Science and Technology Dictionary の説明として、
(astronomy) The orbit which would be followed by a body such as an asteroid or comet if, at a given time, all the planets suddenly disappeared, and it then moved under the gravitational force of the sun alone.

と書かれていた。これは極めて判り易く、曖昧さのない的確な説明と思った。「摂動源となる全ての惑星が突然に消えて・・・」というのが良い。地球周りの軌道では、惑星が消えるだけでなく、地球の重力ポテンシャルも瞬時に球対称になる訳である。つまり、接触軌道要素というのは、ある瞬間の宇宙機(or 天体)の位置・速度ベクトルを、(二体問題として)ケプラー軌道要素に変換したものという事である。二体問題に従う軌道を、ケプラー軌道というので、上の説明の括弧の部分は冗長ではある。
by utashima | 2006-10-14 19:47 | 最近考えている事 | Trackback | Comments(4)
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Commented at 2018-10-18 09:39 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by utashima at 2018-10-19 09:02
ロケット投入軌道のI/F条件として、なぜ接触軌道要素を使用するのか、という質問がT.Nさんから来ました。以下に回答します。

接触軌道要素に対立する要素は平均軌道要素ですが、何故平均要素を使わないのかという観点で返事します。幾つかの理由が考えられます。
①ロケット投入では衛星分離時の位置・速度が目標通りである事が重要。この分離時の位置・速度をケプラー要素に変換すれば、そのまま接触要素になります。つまり利用目的に最も近い要素です。
②分離時の位置・速度は、打上げ時刻の射点における位置・速度から、ロケットの制御加速度や地球重力摂動などを考慮して数値積分して得られます。つまり最も求め易い量です。
Commented by T.N at 2018-10-19 15:45 x
なるほど、よくわかりました。
次に、接触→平均軌道要素への変換方法に興味がありますが、STKでできるか調べてみます。
ご回答ありがとうございました!
Commented by utashima at 2018-10-20 11:21
T.N様
 STKでも処理フローを組み込めば平均要素への変換ができる事、J2項のみ考慮の場合の変換ツールを私も持っている事、などをメールでお知らせしました。もし、メールが届いていなければ、以下の私のメール・アドレスにお知らせください。

私のメール・アドレス
aml00288@mail1.accsnet.ne.jp


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