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斜め観測による分解能の劣化倍数

 災害監視などのように観測頻度の高い事(ある地点の観測が要求された時に短時間後に観測できる)が重要な衛星ミッションの場合には、直下視だけでは沢山の衛星数が必要になる。そこで、ある程度の観測性の劣化を許容して斜め観測をする事がある。ポインティング観測という。2006年1月24日に打ち上げられた陸域観測技術衛星「だいち」に搭載されている AVNIR-2 (可視近赤外放射計)は、進行直交方向に±44度のポインティング観測が可能になっている。ポインティング観測時の幾何学的関係を下図に示した。オフナディア角θが大きくなると、斜めから見る事になるだけでなく、衛星と観測点との距離も大きくなるため、分解能が悪くなってしまう。斜め観測における直下視観測時の分解能との比を、私は「分解能の劣化倍数」と呼んでいる。
斜め観測による分解能の劣化倍数_c0011875_222425.jpg

 下図にオフナディア角に対する分解能の劣化倍数を4つの高度に対して示した。地球の曲率も考慮している。「だいち」の高度は約700kmなので、AVNIR-2 の±44度のポインティング観測では劣化倍数は約2.4倍となる。グラフからも判るように、オフナディア角が小さい領域では、高度及び地球の曲率の影響は小さい。なお、地球の曲率を無視した近似では、劣化倍数は、1/(cosθ)^2となる。
斜め観測による分解能の劣化倍数_c0011875_21523598.jpg

by utashima | 2006-03-19 21:52 | 宇宙機の軌道設計/ 解析 | Trackback | Comments(7)
Commented by kodama at 2006-05-12 09:38
もう御覧になりましたか?

The Chinese Space Program
Mr. LUO Ge (14 MB PPT file)
Vice Administrator, China National Space Administration

http://www.spacesymposium.org/national06/agenda/presentations.php
Commented by utashima at 2006-05-12 19:06
今、読んでみました。中国は景気が良い様ですね。電磁場観測衛星(地震予知衛星)も2008年に計画している。日米欧が実施してきたミッションを全て中国もやろうとしているように見えます。kodamaさんは、どんな点に注目していますか。
Commented by kodama at 2006-05-13 14:22
個人的には日中の災害コンステがどうなるのか注目しています。

先日レーダー衛星もあがったようです。
http://www.sinodefence.com/strategic/spacecraft/jianbing5.asp
Commented by GLI at 2008-01-27 16:58
検索サイトからたどりつきました。

斜めから観測すると分解能が悪くなるとありますが
衛星と観測点の距離が伸び、その分大気のゆらぎなどによって
ノイズが増え精度が落ちる感じなのでしょうか?

例えば気象衛星(MTSAT-1R)などでも同じ事がおきるのでしょうか??
また、直下視で気象観測が可能になれば今よりも精度はあがるものなのでしょうか?
いろいろ聞いてしまってすみません。。。
Commented by utashima at 2008-01-27 17:43
記事中の「分解能の劣化倍数」は、単に幾何学的な影響のみ考えています。大気の影響は考えていません。それも考慮すると、もっと悪くなるでしょう。静止気象衛星でも高緯度地域や東西の端付近は、斜めからの観測となり、地表面上の分解能は低下します。
Commented by GLI at 2008-01-28 15:44
たびたびすみません。
ということは気象も直下視観測ができれば今よりも精度があがると
思えばいいのでしょうか?
例えば、準天頂衛星を使用など。
Commented by utashima at 2008-01-28 20:52
静止気象衛星は、1機で連続的に広域を観測できる事が利点です。その代わり、緯度φ の地点では、およそ 1/cosφ だけ分解能が劣化します。緯度40度(秋田県付近)では、1.3倍程度の劣化です。

準天頂衛星を使うと、劣化せずに済みますが、3機の衛星が必要になります。しかも、劣化しないのは、日本付近だけです。日本付近の1.3倍程度の劣化を解消するために、3機の衛星を打ち上げるというのは、コストの掛け過ぎと思います。


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