2005年8月にドニエプル・ロケットで打ち上げられた JAXA の光通信実験衛星「きらり」が、約4万km 離れた欧州宇宙機関 (ESA) の静止衛星「アルテミス」との間で、大容量の光通信実験に成功。衛星間でレーザー光による双方向光通信に成功したのは世界初。
このサイトによると、「きらり」に搭載されている光衛星間通信機器(LUCE)開発モデルを、ESA 光地球局に持ち込んで、静止軌道上の「アルテミス」との間で、レーザー光による光通信実験を、2003年9月に行なっている。今回は、「きらり」が軌道上に打ち上げられ、衛星間で光通信を成功させた。「きらり」は 1995年に開発に着手したが、色々な不運が重なり、心配していたミッションであった。今回の成功を本当に喜びたい。なお、JAXA の
このサイトに詳しい説明がある。
衛星の光通信については、私にも小さい思い出がある。1996年夏にサンディエゴで開かれた AIAA の学会に参加した帰路にパサデナのジェット推進研究所 (JPL) に寄り、JPL の Dr. Keith Wilson にお会いして、JPL の光通信の研究についてお話を伺ったことがある。New Millennium Program の深宇宙探査計画においても、光通信でミッション・データを地球に送信する具体的な計画は無く、光通信の可能性・有望性をデモンストレーションする事に重点を置いていた。日本の ETS-Ⅵ の LCE (Laser Communications Equipment) を使った光通信実験に参加したり、ガリレオ探査機が地球とのフライバイのために地球に接近した時に地上からレーザーをガリレオに向けて発射し、これをガリレオのカメラで受光する等の実験を実施していた。当時、NASA は冥王星フライバイ計画 (Pluto Express) を21世紀初めの打上げとして検討しており、これに光通信を利用する事も考えていた。
衛星間の大容量光通信が可能になると、地球周回ミッションにおいてもメリットがあるが、惑星探査ミッションにおいて大きなメリットがあると考えられる。今後の発展を期待したい。