2019年9月末までで全ての衛星運用を成功裏に終えた
超低高度衛星技術試験機(SLATS)は、2019年10月1日19時13分(日本時間)に
停波した。私も、筑波宇宙センターのSLATS運用室で停波に立ち会う機会を与えて戴いた。SLATS関係者の方々に感謝します。
SLATSは2006年秋から数名で検討が開始された。当初は「3年位で打上げまで進められると良いね」と話していたが、打ち上ったのは2017年12月23日。11年が過ぎていた。私のNASDA+JAXAの勤務の中で、ミッション検討の開始から衛星運用終了まで、全てを見ることができたのはSLATSだけだった。
SLATSの自律軌道制御機能には高度保持の機能だけを搭載したが、今年春の約1か月間は毎日東京上空を通過する完全回帰軌道を保持し、7月から8月末にかけては5日回帰軌道を保持して、福岡・舞鶴公園付近、大阪・大阪城付近、東京・赤坂付近、札幌・大通公園付近などを観測した。これらの実現には自律高度保持機能だけではできないので、毎日自律高度保持の閾値をアップロードして更新して対応した。打上げ前には超低高度を飛ぶ衛星からの電波を地上局アンテナで捕捉できるかが心配だった。色々な軌道状況に対して幾つかの捕捉法を検討した。その成果もあってか、捕捉に失敗することはなかったと聞いている。皆様、お疲れさまでした。