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『複雑な世界、単純な法則』 マーク・ブキャナン著

 新聞の読書欄でこの本の紹介文を読み、すぐに近所の書店で購入した。本の最初に、世界中の任意の二人を繋ぐのに、間に6人の人がいれば良い事が、幾つかの実験によって明らかにされた事が書かれていた。この事は、驚きだった。このような比較的少ない (数個) リンクで、どのノードとも繋がるネットワークを、Small World Network (以下、SWNet と略す) というらしい。自然界の生態系のリンクや伝染病の感染、人間の世界の経済活動、これらは全て SWNet になっているらしい。

 SWNet には2つの種類がある。平等主義的ネットワークと貴族主義的ネットワーク。前者は、基本的に個々のノードは全てほぼ同じリンク数を持ち、例外的なノードだけが長距離リンクも持つ。後者は、多いリンク数を持つノードほど、その数が少ないネットワークであり、リンク数とノード数を対数表示すると直線関係となる「べき乗則」に従う。貴族主義的ネットワークは、インターネットやウェブサイト網などがそうであり、特別なコントロールをしなければ、この種のネットワークになるようだ。2種類のネットワークに対して、外部からの攻撃や、個々のノードの異常に対する強さも検討されている。

 この本は、冒頭から読者を巧く引き込んでいる。この後に凄い成果・結論が書かれているのでは、と期待しつつ読んだが、簡単に紹介するのは困難なのかも知れないが、期待はずれだった。でも、期待が大き過ぎたからであろう。全く平等な個人の集まりの社会で経済活動を行なっても、金持ちは益々金持ちになるという結果が得られている等、興味深い。税のシステムは、この傾向を緩和する効果がある。個々のノード間の相互作用に着目した物理学者に有名なランダウがいる。彼は、ソ連の秘密警察に捕まり、処刑される可能性もあったとか。
by utashima | 2005-05-28 15:42 | 読書 | Trackback | Comments(0)


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