人気ブログランキング | 話題のタグを見る

『周縁から見た中世日本(日本の歴史14)』(大石直正、高良倉吉、高橋公明著)の第3部の終章

終章 海域世界の変貌

 元を倒して成立した明は、周辺国に使節派遣を促し、漢民族を中心とした世界秩序を目指す外交政策を取った。明の皇帝が、周辺国の長を冊封する臣従関係であった。貿易はその外交関係のもとでのみ行われた。そのため、海禁令を出し、極刑をもって明人の海外渡航を禁じた。しかし、明王朝の強権をもってしても、明人の海を舞台にした活動を制限する事は出来なかった。

 明人は、16世紀には、急増する日本産銀に引き寄せられるように日本に向けて北上し、ポルトガルなどのキリシタン勢力をこの海域に誘導する役割を果たした。1549年には明船に乗って、フランシスコ・ザビエルが鹿児島に到着している。1589年にオランダで出版された「太平洋図」には、日本列島は銀鉱山、銀の島と書かれている。1533年に灰吹法という画期的な精錬技術が導入され、16世紀の中頃から石見銀山をはじめ各地の銀産出高が増大した。この情報が海を通じてヨーロッパに伝わり、地図に書かれる事になった。
by utashima | 2011-05-07 18:40 | 読書 | Trackback | Comments(0)


<< 『織豊政権と江戸幕府(日本の歴... 還暦祝い >>