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衛星群による光干渉計に適した軌道  1997年

 太陽系外の惑星探査や生命探査などのために、光干渉計を宇宙に打ち上げる計画が幾つか進行している。SIM(Space Interferometry Mission)は基線長10mの可視光の干渉計ミッションであり、2010年頃の打ち上げを計画している。観測軌道はEarth-trailing solar orbitである。私は、これを地球ドリフト軌道と呼んでいるが、太陽を中心天体とした時の軌道長半径が地球のそれと僅かに異なるために、地球から少しずつ離れていく軌道である。数年間観測したら、その後は地球から離れ過ぎて利用できなくなるが、軌道保持をする必要がないため、数年の観測で良い場合は時々利用される。現在活躍している赤外望遠鏡衛星のスピッツァー(旧SIRTF)もこの軌道を飛行している。SIMは光干渉計ミッションであるが、衛星群によるミッションではなく、10mの支柱を持つ1つの衛星である。一方、TPF(Terrestrial Planet Finder)には、数基の宇宙機の編隊飛行で光干渉計を実現する計画(TPF-I)がある。TPFは可視光のコロナグラフで観測するTPF-C(2014年に打上げの構想)と、編隊飛行による赤外光の干渉計で観測するTPF-I(2020年に打上げの構想)の2つの計画から成っている。

 前節の米国の計画は2005年現在のものであるが、1997年頃には既にTPF-Iの構想が出されており、このようなミッションが要求する観測軌道はどのようなものであるかに関心があり、検討した。1km程度離れた衛星間の相対位置を1cm の精度で把握及び保持し、それらの衛星で受けた光を1つの衛星に集めて干渉させる。干渉させる衛星の内部では、光路長の微調整を行ない、10nm程度の光路差の精度を数分間維持する。そのためには、衛星間の相対速度を0.1mm/s程度の誤差で把握する必要がある。相対位置・速度を、1cm及び0.1mm/sの精度で把握する事は、GPSの技術を利用する事で可能である。

 従って、地球近傍空間の重力加速度勾配を調査して、相対距離が1kmの場合に10 分間の相対位置ずれが1cm以内に留まる領域(軌道)を検討した。その結果、地球から50万km以上離れれば、問題ない事が判った。太陽-地球系L2点もOKである。
c0011875_1723507.jpg

以下の資料にこれらを記した。
歌島, "衛星群による光干渉計に適した軌道," GAA-97006, 1997年5月.

by utashima | 2005-04-02 17:16 | 宇宙機の軌道設計/ 解析 | Trackback | Comments(0)
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