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静止軌道半径の変動解析 1978年

 静止衛星の軌道保持運用には、現時点のドリフトレートの把握が重要である。ドリフト・レートとは、静止衛星の直下点経度の変化率である。このドリフト・レートを高精度に知るには、平均軌道長半径を知る必要がある。軌道決定で得られるのは、ある時点での接触軌道長半径であり、これを平均軌道長半径に変換する必要がある。

 静止衛星の当時の先進企業であるヒューズ社でさえ、高精度の変換法を持っていなかった。ヒューズ社は1ヶ月間の軌道生成を行なって数値的に平均要素を求めていた。そこで、私達(広田正夫氏と私)は、世界で初めて解析的に平均軌道要素に変換する式を作成した。最も重要な平均軌道長半径の誤差は数m 以下だったと思う。

 平均軌道長半径が得られたので、それを使ってドリフト・レートを算出する式(太陽・月の重力や地球扁平の影響を受ける)を導出した。この式が得られると、逆に、ドリフト・レート=0 の平均軌道長半径(静止軌道半径)を求める事ができ、年間を通してどのように変動しているかに興味を持った。振幅が約70m の半月周期の変動、振幅が約65m の1ヶ月周期の変動、振幅が約50m の半年周期の変動があった。下の図は1977年の各月の1ヶ月間の静止半径を描いたもの。赤い線は解析的に導いたもの。
静止軌道半径の変動解析 1978年_c0011875_14283684.jpg

1年の内だけでなく、年が変わると静止軌道半径も変化する。振幅46m で 18.6年周期の変動もあった。以下の資料にまとめた。
歌島, "静止軌道長半径の変動について," 1978年.

by utashima | 2005-03-11 20:59 | 宇宙機の軌道設計/ 解析 | Trackback | Comments(0)


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