2.General Mission Analysis Tool (GMAT)の概要
GMAT (General Mission Analysis Tool) は、NASA の GSFC が中心となって作成を進めている Open Source による軌道解析ツールである。地球周回軌道から惑星間飛行まで、現在の宇宙活動の殆ど全ての領域を対象としている。2008年現在は、Windows 版は β 版、Mac 及び Linux 版は α 版である。右に、
GMATProductBrochure.pdf に掲載されている GMAT の実行中の画面を示す。
STK の Astrogator がこれに近いが、STK は民間企業によって管理されており、研究者にとって自由度が大きく制限されている。GMAT は、STK のこの問題点を解消する事も可能と思われる。GMAT は、フォーメーション・フライトを必要とするミッションが軌道力学系ソフトに何を要求するかを把握するために、GSFC において 2002 年から開始された検討が、スタート・ラインである。
GMAT は C++ で作成され、GUI を通して使う事も、コマンド・ライン プログラムとして使う事も出来る。GUI は、wxWidgets を使って書かれている。
GMAT の入力条件や軌道計算の流れは、script ファイルに記録される。この script には、if 文、for 文、while 文なども書く事ができ、柔軟性が高いので、STK/Astrogator では困難な事も実行可能と思われる。
右図は、GMAT に添付されているサンプル script の一つ、Ex_ControlFlow.script の実行画面である。左に、Mission Sequence が表示され、その中に For, While, If が見える。Mission Sequence の構成は、Astrogator の MCS と良く似ている。Astrogator は、GSFC の研究者達を中心として開発された Swingby というソフトがベースとなっており、GMAT にはその考え方が継承されていると思われる。
***(続く)***