1.はじめに
新しい宇宙機ミッションの検討には、軌道解析が必要な場合が多い。そのための道具として、AGI 社の
Satellite Tool Kit (STK) が良く知られている。しかし、
高価なソフトウェアのため、簡単には導入できない。私も職場で時々使用するが、購入しているライセンス数が少ないため、使えない事も偶にある。
STK のコンポーネントの一つである Astrogator は、月や惑星への軌道解析や、電気推進系を使った解析もできる。地球回りの高度200km 付近を電気推進系を使って飛行する
超低高度衛星の検討でも、STK/Astrogator を用いた。
そこそこの解析はできるが、もう一歩レベルを上げた検討をしようとすると、Astrogator の機能が不十分なために出来ない事が多い。Astrogator では、ミッション期間中の軌道制御などのイベントを Mission Control Sequence (MCS) として記述する。MCS には、n 個の制御変数を用いて n 個の終端状態量を目標値に合わせる機能が、微分修正法を用いて用意されている。但し、制約条件の下に、ある量を最小化するという最適化の機能は無い。
以上のような経験から、私が抱いている理想的な解析ツールは、色々な機能のコンポーネントがソースコードの形で用意されており、基本バージョンで不足する場合、必要なコンポーネントを探して来て付加する事のできるツールである。必要なコンポーネントが見つからない場合は自作する。出力としての 2D, 3D のグラフィックスは、この解析ツールに必須ではないと考える。解析ツールとしては、テキスト・データをファイル出力する機能があれば良い。グラフ化には色々な既存ツールを使えば良い。
最近、上記の理想的な解析ツールに近いと思われるものが、
オープンソースの形で幾つか公開されている事を人伝に聞いた。本記事では、それらを簡単に紹介する。
***(続く)***