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隠れた物理法則(数理科学2011年7月号)

 数理科学2011年7月号は「隠れた物理法則」の特集号だった。宇宙論や素粒子論の面白い話が掲載されている。私が興味を持った記事のタイトルを以下に記す。

  「隠れた定数(暗黒エネルギー)」
  「隠された粒子と物質(素粒子物理と暗黒物質)」
  「隠れた次元(ブレーン・超弦理論)」
  「隠れていた場(ゴースト場の凝縮機構)」

 1998年に発表された Ia型超新星の観測データ等から、現在の宇宙は、約73%の暗黒エネルギーと約23%の暗黒物質と約4%の通常物質(バリオン)から成っている事が分かって来た。暗黒エネルギーは現在の宇宙を加速膨張させている事が示された。しかし、暗黒エネルギーと暗黒物質の正体は不明である。暗黒物質の候補として、超対称性粒子とアクシオン粒子が考えられている。超対称性粒子の中でも、ニュートラリーノとグラビティーノが候補。ニュートラリーノ はバリオンと僅かに相互作用するため、地上でその相互作用を観測できる可能性があり、日本でも XMASS という暗黒物質検出実験が神岡で行なわれている。ニュートラリーノが暗黒物質であれば、近い将来の検出が期待されている。グラビティーノとアクシオン はバリオンとの相互作用が小さ過ぎるため地上実験での検出は困難らしい。

 暗黒物質や暗黒エネルギーは、宇宙の観測データと一般相対性理論との不一致の説明として考えられたもの。逆の発想として、一般相対性理論の方を調整する考えもあるというのが、上記の4番目の記事である。一般相対性理論が根源としているローレンツ対称性に対し、自発的対称性の破れを導入する。そこから得られる「ゴースト場の凝縮機構」をインフレーションに適用すると、近い将来の宇宙背景輻射の観測により、このモデルの正否を判定できる可能性があるようだ。「ゴースト場の凝縮機構」は、素粒子の標準模型におけるヒッグス機構(質量の源)と似たものである。

 ローレンツ対称性に自発的対称性の破れを導入するというのは、初めて読んだ。こちらのPDF(by 佐藤勝彦氏)の49頁に、ゴースト場凝縮により、暗黒物質と暗黒エネルギーを同時に解決できるかも知れない事を示す説明図がある。
by utashima | 2011-07-29 20:42 | 宇宙開発トピックス | Trackback | Comments(0)

TRMMオンボード軌道情報の高精度化手法

 2006年のISTS (International Symposium on Space Technology and Science) で発表された論文の中に以下のものがあった。

Stephen Bilanow, Steven Slojkowski, "TRMM ON-ORBIT PERFORMANCE REASSESSED AFTER CONTROL CHANGE," ISTS 2006-d-35.
 
この論文に、TRMM (Tropical Rainfall Measuring Mission) のオンボード軌道情報をより高精度にするための興味深い方法が記されていたので、簡単に紹介する。

 TRMMは、1997年11月に H-2ロケットにより打ち上げられた熱帯降雨観測衛星であり、日米共同ミッションである。日米の分担は以下の通りである。
    日本 : 世界初の降雨レーダーの開発、H-2ロケットによる打上げ
    米国 : 衛星の開発、衛星の運用

TRMMの運用高度は、350kmという低い高度であった。3年余りの運用の後、2001年8月に402.5kmの高度に変更された。当時私は、単に高度を約50km上げただけの事と思っていた。しかし、この論文を読んで、そうではない事を知った。姿勢制御方式も変更していた。

 高度350kmでは地球センサを使って TRMM を地球指向姿勢にしていたが、402.5km に上げると地球センサが使えず(詳細な理由は書かれていない)、地球センサを使わない制御方式に変更した。後者の方式では姿勢センサだけでは地球指向ができず、時々刻々の衛星位置情報も必要となる。2つの制御方式はかなり異なる方式であり、1つの衛星に2方式を搭載していた事を知って驚いた。理由も書いてあった。高度が低いほど原子状酸素(AO)が多く、AO により地球センサのレンズの fogging を心配していた。そのため、地球センサ無しでの姿勢制御方式もバックアップとして搭載していた。

 高度を 402.5km に上げるとバックアップの姿勢制御方式を使用する事になり、地球指向させるために、時々刻々の衛星位置情報が必要になる。TRMM は毎日 TDRS を使った軌道決定をしており、その軌道決定値(接触要素)を1日に1回、TRMM にアップロードしていた。TRMM は、J4までのzonal項、2×2までのnon-zonal項、簡易化した Jacchia Roberts 大気密度モデルを考慮した軌道伝播機能を持っている。然しながら、1日に1回のアップロードでは軌道伝播精度が不十分だった。そのため、当初は1日に2回アップロードしていた。だが、これでは運用の負担が増える。

 そこで、別の方法が考えられた。1日1回のアップロードで不十分だった理由は、地上での軌道決定(TDRS経由のデータを使用)では30×30までの地球重力モデルを使っていたにも拘らず、TRMM 内では上記のように J4までと2×2までの簡易モデルを使っていた事である。摂動モデルが異なると、一般に軌道長半径の短周期摂動量に違いが生じ、それが時間に比例する位置誤差を生じさせる。

 TRMM が採用した対策は、2つの地球重力モデルのポテンシャルが等しくなる時刻の接触要素を TRMM にアップロードする事だった。ポテンシャルが一致すれば、エネルギーを決める軌道長半径も一致するからである。しかし、最近の衛星は GPS受信機を搭載する事が多いので、地上から自分の位置を知らせて貰う必要がなくなり、TRMM のような方法は必要ないかも知れない。
by utashima | 2011-07-23 13:59 | 宇宙開発トピックス | Trackback | Comments(0)

『織豊政権と江戸幕府(日本の歴史15)』(池上裕子著)の第5章

第5章 検地と刀狩

 秀吉は信長の武将として播磨の支配にあたった1580年に検地を命じている。本能寺の変後は、山城・近江などでも検地を重ね、次第に検地の施行原則が定まって行った。そして、太閤検地を実施した。1間の長さ等の物差を全国で統一した。枡も京枡に統一した。

 1587年の九州出兵を機に、朝鮮服属・大陸出兵に向かって動き出した秀吉は、全国の大名に、石高に基づいて統一的に軍役を課そうとした。検地はこのために必要であった。

 刀狩令は1588年7月に出された。大名・領主に出して実行させた。刀狩は既に、一向一揆を滅ぼした後の越前で柴田勝家によって部分的に行なわれていた。刀狩令という全国的な法令に発展するには、1587年に起きた大規模な肥後国一揆も影響しているようだ。九州平定後6月に佐々成政が肥後国の大名として熊本城に入ったが、7月には一揆が国中に広がり、秀吉の九州支配を揺り動かした。そのため、秀吉は10日間の予定だった北野大茶会を1日で中止した。一揆の原因は、佐々成政の悪政にあった。首謀者とみられた国人らの首を斬り、佐々成政に切腹を命じた。刀狩令はこの一揆鎮圧の半年後に出された。

 1591年に天正19年令といわれる身分固定の法令を出した。奉公人の侍などが町人や百姓になる事を禁止し、百姓が田畑を捨てて商いや賃仕事に出る事を禁止し、出奔した侍などを抱える事を禁止した。

 九州平定後の1587年、秀吉はキリシタン大名の高山右近に棄教を迫ったが拒否され、彼を追放処分にした。そして、バテレン追放令を発した。但し、貿易は奨励した。布教と貿易は分かち難く結び付いており、その後もキリシタン数は急増。バテレン追放令を発した前日にはキリシタンへの改宗の強制を禁止する法令が出されている。自分の意志でキリシタンになる事は妨げないし、キリシタンである事を禁止したり改宗を迫るものでもない。
by utashima | 2011-07-17 12:09 | 読書 | Trackback | Comments(0)

2個目のLED電球(E17口金)

 今年7月3日に初めて購入したミニクリプトンタイプLED電球は、ちらつく事があり、別の製品を探していた。近所のヤマダ電機で、FORA LED電球(E17口金 3W、燦坤日本電器製(主にEUPAのブランド名を使用))を1150円で購入した。7月3日の物よりも安い。まだ取り付けたばかりで、ちらつきの有無は分からない。

 なお、7月3日に購入した製品のちらつきは、数十%の確率で発生している。取り付け場所が廊下なので実害がなく、そのまま使用し続けている。

追記(2011年7月17日10時)
 昨夜使った限りでは、ちらつきは生じなかった。
by utashima | 2011-07-16 18:38 | 省エネルギー | Trackback | Comments(0)

『織豊政権と江戸幕府(日本の歴史15)』(池上裕子著)の第4章

第4章 関白政権の成立

 光秀と秀吉の戦い(山崎の戦い)は、1582年6月13日夕方に開始された。兵力に勝る秀吉軍は、光秀軍を勝竜寺城へと追い込み、あっという間に勝敗が決した。安土城は、15日に焼け落ちた。原因は分かっていない。本能寺の変の時、堺にいた家康は、伊勢へ出て白子(鈴鹿市)で乗船し三河に逃げ帰った。一緒に堺にいた穴山信君は、家康に不審をいだいて別行動を取ったため、途中で殺された。穴山信君は、武田氏の家臣で、母南松院殿は武田信虎の娘で武田信玄の姉にあたる。家康は甲斐に兵を出し、信濃の南部も所領に加えた。
 6月27日、清州会議が開かれ、信忠の子の三法師が家督と決まり、4宿老が守り立てる事とした。しかし、信長がいなくなった時、織田政権としての統治機構も政治組織も政庁としての安土城さえも、存在しなかった。信長の独裁政権だったためである。清州会議は、織田政権の解体を宣言したものだった。

 1583年9月、柴田勝家を滅ぼす等、信長の旧版図をそっくり支配下に入れた秀吉は、安土城をはるかに超える規模の巨大城郭大坂城の建設を始めた。

 毛利は秀吉に人質の提出に応じたので、秀吉の当面の課題は東国の平定であった。信雄は秀吉に利用されつつも所領を増やし、秀吉に対抗するために家康に接近する。家康は、北条氏直と和議を成立させ、家康の娘と氏直の結婚により、秀吉に対抗する一大勢力となる。家康・信雄らと秀吉は、小牧・長久手の戦いに突入する。家康側が大勝利をおさめた。その後決着がつかず和睦する。秀吉は家康に勝てず、家康は秀吉の天下統一に大きく立ちはだかった。そこで、秀吉は路線を変更する。

 秀吉は、朝廷への接近路線に切り換えた。この転換の時期は、1584年9月頃とみられる。その頃から急速に朝廷官位が上がる。武力に代わって高い官位で支配しようとする。1585年7月、49歳の秀吉はついに従一位関白の地位に上った。1586年には豊臣姓を認めてもらった。

 1586年2月、秀吉は京都内野に関白の政庁として聚楽第の造営を開始した。この地は平安京の大内裏があった所。1587年9月に完成し入居した。10月には北野社社頭の松原で北野大茶会を催した。
by utashima | 2011-07-04 21:39 | 読書 | Trackback | Comments(0)

ミニクリプトンタイプのLED電球の試用

 ジョイフル本田で、ミニクリプトンタイプのLED電球を1つ試用のために購入した。4.3W、270ルーメンのもので1480円だった。我が家は、蛍光管に替えられるところは、ほぼ替えてきたが、廊下の照明の横置きミニクリプトンタイプに対応した蛍光管がないため、電球を使っている。今回購入したLED電球の試用結果によっては、廊下の照明を全てこれに取り換えようと考えていた。

 廊下に取り付けてみた。点灯後5分間位は全く問題ない。ところが、10分を過ぎる頃から、明るさがちらつくようになった。LED電球の中で交流を直流に変えているらしいが、その回路に問題があるのかも知れない。同じ性能のものでも、1個4000円近くするものもあり、そのような高級品は、ちらつきが無いのかも知れないが、私が購入する対象にはならない。ちらつきのないLED電球が2000円を下回るまで待つ事とする。

追記(2011年7月3日19時30分)
 ちらつき問題は、単純ではないかも知れない。上記の10分~20分間の試験点灯の後消灯していたが、暫くして周りが暗くなったので点灯した。1時間以上点灯状態にあるが、ちらつきはない。但し、点灯直後からずっと「ちらつき」が無かったのかどうかは見ていないので分からない。この製品の判断には、もう暫く日数を要する。
by utashima | 2011-07-03 15:00 | 省エネルギー | Trackback | Comments(0)

リビングにエアコン補助の扇風機

c0011875_12554270.jpg 昨日からいよいよ省エネの夏が始まった。我が家では、数年前から、蛍光管で置き換えられる白熱電球は殆ど置き換えてきた。地デジ化に伴って購入した液晶テレビもバックライトはLEDのものを購入した。昨年の夏には、リビングのエアコンに寿命が来たので、新型の省エネタイプを設置した。この新型エアコンは「3円/H」という消費電力の表示も可能で良いが、送風モードがない。

 そこで、リビングで使う扇風機を購入した。近所の家電量販店に行くと、在庫は少なくなっていたが、2000円台の外国製と6000円程度の日本製が目に付いた。私は、数年前から安い外国製を購入して、数年以内に故障する事を経験しているので、今回は日本製の扇風機を買った。東芝のF-LN5である。約6000円。今我が家では、松下電器製の扇風機F-C302Aをまだ使っている。製造は1984年。長男が子供の頃に貼り付けた戦闘機のシールがそのまま残っている。今回買った扇風機も、20年位は活躍して欲しい。

[追記 (2011年8月21日)]
 上記の松下電器製の扇風機 F-C302A が今日故障した。1984年製造なので、約27年間活躍した事になる。今は涼しいが再び暑くなるらしいので、Elabitax EYN-31E (吉井電気株式会社製) を2380円で購入した。上記の東芝製と機能はほぼ同じ。どちらの寿命が長いかな。
by utashima | 2011-07-02 12:53 | 省エネルギー | Trackback | Comments(0)