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4段になり損ねた?

 2005年6月は、先月の月間勝率が6割を越えたので、3段に昇段して対局してきた。昨日まで、7勝5敗。今日勝てば、月間勝率が6割を越えて4段になれる。3段の人と対戦した。残念ながら5目の負け。月間勝率は5割4分となった。3段として対局して月間勝率が5割を超えたのは初めてである。まだ、4段は早過ぎると思っていたので、負けてホッとしたのが正直な気持ち。
by utashima | 2005-06-30 22:26 | 囲碁 | Trackback | Comments(0)

[8]新しいカテゴリの追加

 今まで、「最近考えている事」というカテゴリに、いろいろな事を書いて来た。記事の数が多くなり、過去の記事を探すのに苦労する様になった。そこで、カテゴリ「最近考えている事」の中の記事を調べてみた結果、以下の2つのカテゴリを追加して、そちらに対応する記事を移す事にした。

・歌島姓について
・宇宙開発トピックス

これからも、カテゴリ「最近考えている事」の記事が増えてきたら、新規カテゴリに分ける事を考えたい。
by utashima | 2005-06-26 21:45 | ブログ作成の経過 | Trackback | Comments(0)

フォボスでのホバリングと定高度移動の検討  1994年

 1992年から、私的な「フォボス探査研究会」に参加させて頂き、主にフォボス探査活動の軌道設計/ 解析を担当した。この研究会やフォボスについては、このブログの別の記事に記しているので、参照して下さい。1992、1993年は主に高度50km位から分解能1m程度でフォボス全球観測のできる軌道(擬周回軌道)の設計を行ない、1994年頃は、更にフォボス表面に接近した探査活動について検討した。ここでは、その中のホバリングと定高度移動について紹介する。

ホバリング
c0011875_16324616.jpg 右図のフォボス固定座標系で、フォボス近傍の宇宙機の運動方程式を表わすと以下の様になる。これは、人工衛星のランデブ解析で使われる Hill の方程式である。なお、フォボスも自転と公転の周期が一致しており、火星には同じ面を向けている。左辺の b は、フォボスからの重力加速度と宇宙機が発生する推力加速度の和である。
c0011875_16374246.jpg

ホバリング中は、位置と速度の変化はないので、フォボスからの重力加速度と宇宙機が発生する推力加速度の和は次式で表わされる。
c0011875_16421580.jpg

c0011875_16491620.jpgこの b から、フォボスからの重力加速度を引くと、ホバリングに必要な推力加速度が得られる。このようにして求めた7.66時間(フォボスの公転周期)当たりのホバリングΔV を右のグラフに示す。n はフォボスの火星周りの平均運動である。n の付いた項は、フォボスが火星の周りを公転しているために存在している。小惑星の近傍でのホバリングでは、この n をゼロとすれば良い。

 ホバリング対象天体が、フォボスと同じ形の小惑星であれば、ξ 軸上の表面では82.3m/s に更に56m/s が加わって約138m/s が必要になり、ζ 軸上の表面では301m/s から13m/s を引いた288m/s が必要となる。フォボスが火星の周りを回っている影響はちょっと大きい。

定高度移動
c0011875_18472368.jpg 定高度移動というのは、ほぼ一定の高度を維持しながら、一定速度でフォボスの周りを回る移動法である。常に推力加速度を発生させて移動する。ここでは簡単のために、高度一定でなく、半径一定とし、大円に沿っての移動とした。定高度移動の半径と i, Ω (図2.1参照)を指定すると、宇宙機の位置ベクトル(ξ、η、ζ)は時間の関数として決まる。 最初に掲げた Hill の方程式に、これらを代入すると、フォボス固定座標系にて必要な推力加速度が得られる。これを図2.1の機体座標系(u1, u2, u3)に変換すれば良い。右に、移動速度を変えた時の1周の低高度移動に必要な増速量のグラフを示す。i=0 の経路に沿った移動の場合である。移動速度が約5m/s の時に増速量が最小となる。遠心力の影響である。

c0011875_1854981.jpg
 右に、移動大円の傾斜角を変えた時に、最適な移動速度がどのように変わるかを示す。最適な移動速度は、傾斜角に対して単調増加である。赤道に沿っての移動では、観測時間を長く取れる点からは i=0 の順方向の移動が良い。なお、i=0 と i=180 度の移動はどちらも同じ増速量である。

 以上の事を含めて、以下の論文を発表した。
歌島, "フォボス近傍探査活動のtrajectoryについて," ISAS アストロダイナミクス・シンポジウム, 1994年.
by utashima | 2005-06-25 22:00 | 宇宙機の軌道設計/ 解析 | Trackback | Comments(0)

ロシアの潜水艦からの衛星打上げの実績

 日本時間2005年6月22日早朝に、ロシアの原子力潜水艦から世界初のソーラーセール宇宙機「コスモス1」の打上げが試みられた。しかし、ロシア側の発表によるとロケットの第一段が発射83秒後に停止し、軌道投入には失敗したという。ブリザドさんの記事にもあるように、米国惑星協会は2001年に、ソーラーセールの展開試験だけの目的で、ロシアの潜水艦からの打上げを試みている。その時はロケット・エンジンは正常だったが、衛星分離に失敗したらしい。今回の失敗は、2001年の失敗よりも重症と言えるだろう。

 そこで気になったのは、潜水艦からの衛星打上げはいつから始められたのか、今までに何回の衛星打上げに成功しているのだろうかという事。Google で検索してみると、最初の衛星打上げの情報はすぐに判った。そこには、『1998.7.7. ロシアの潜水艦が、史上初めて衛星をうちあげた。』と書かれている。その時は成功していた。NASDA NEWS によると、それは、1998年7月、ベルリン大学の2機合わせて1.5kg の衛星をロシアの潜水艦から打ち上げたもの。打上げ費用は50万ドル。この打上げから、Cosmos 1 の2001年の失敗までの間に打上げが行なわれたかどうかは、まだ判らない。もし、その間に打上げがなかったならば、3回に1回の成功となり、かなり信頼性は低い。

 Gunter's Space Page を調べてみると、2002年7月にも suborbital への打上げが行なわれていた。ペイロードは、IRDT2 (Inflatable Re-Entry and Descent Technology)であった。これも失敗している。ペイロードを保護するコーンが早く外れたため、第3段燃焼中に IRDT2 が損傷を受けたらしい。2001年の Cosmos 1 の打上げの時も、IRTD1 が一緒に打ち上げられていた。なお、suborbital も良いとすると最初の潜水艦からの打上げは、1995年6月に行なわれている。ペイロードはドイツの実験モジュールとの事。1997年10月にも suborbital に打ち上げて、リエントリのミッションが実施されている。

 以上を整理すると、

1995年 6月 suborbital  ドイツの実験モジュール       成功
1997年10月 suborbital  リエントリ・ミッション          成功
1998年 7月 orbital     ベルリン大学の小型2衛星     成功
2001年 7月 suborbital  Cosmos 1 展開試験+IRDT1  失敗
2002年 7月 suborbital  IRDT2                 失敗
2005年 6月 orbital     Cosmos 1              失敗

となる。成功確率は50%であるが、ここ3回は連続して失敗している。
by utashima | 2005-06-23 19:20 | 宇宙開発トピックス | Trackback | Comments(3)

液体アポジエンジンによる軌道制御の初期検討  1982年

 1982年頃、GTO (静止トランスファ軌道) から GEO (静止軌道) への軌道変換に液体アポジエンジンを使う場合の軌道計画の初期検討を行なった。当時は、固体燃料を使ったアポジモータが主流であった。この時に参考にしたのは、ESA が計画していた TV-SAT という放送衛星である。TV-SAT は打上げ時に約2000kg であり、約400N の推力の液体エンジンを使用した。TV-SAT は1987年に打ち上げられ静止軌道に達したが、太陽電池パドルの展開に失敗したため、技術試験用途に用いられた模様。

 運用面から見た時の固体モーターと液体エンジンの最大の違いは、必要な噴射時間の違いである。固体モーターでは、約30秒で燃焼が終了するが、液体エンジンでは、数十分~数時間の噴射時間となる。初めに検討したのは、長時間噴射による燃料損失である。現在の運用とは異なり、1回の噴射で GEO に近いドリフト軌道に投入するとした。

 AEF (Apogee Engine Firing) を計画する時、以下の4種類のパラメータを考える必要がある。
  (1)推力方向の赤経
  (2)推力方向の赤緯
  (3)噴射開始時刻
  (4)噴射終了時刻
c0011875_1954194.jpg
推力方向は時々刻々最適な方向を使用するのが望ましいが実現にはコストが掛かる。この検討では一定の方向に噴射すると仮定した。そのように簡単化しても、4つの未知パラメータが存在する。当時は、4つの未知パラメータを最適化する方法を知らず、推力方向はインパルス近似の場合の推力方向を用いる事にした。すると、残りの2つのパラメータを最適化すれば良い。2パラメータの最適化も未経験だったが、これは2つのパラメータの平面上に等高線を描いてみれば最適点を見つける事ができる。この方法で検討する事にした。ところが、等高線を描画するソフトがない。当時、同じ筑波宇宙センター内の衛星開発室(正式名称は違っていたかも知れない)に先輩の遠藤栄一氏がおられ、等高線ソフトを自作されていた。お願いすると、使用を快諾して頂いた。今では、いろいろな市販の解析ソフトに等高線作成機能が含まれているが。


c0011875_2043216.jpg 右上図に、初期衛星質量が3000kg、液体アポジエンジンの比推力が310秒、推力が415N の場合の静止時質量の等高線図を示す。横軸は液体エンジンの加速度曲線の重心と昇交点とのずれを表わし、縦軸は増速量を表わしている。この図から、加速度曲線の重心を昇交点から約4分後ろにずらし、増速量を1885m/s とした時に最大の静止質量が実現できる事が判る。この場合の噴射時間は169分である。液体エンジンの推力の大きさを変えて噴射時間を変えた場合の燃料損失(重力損失)のグラフを右に示す。169分間の噴射の場合は、約1.5% の燃料損失がある。
 ここまでの検討を以下の資料にまとめた。
歌島, "二液式 ABM・RCS システムによるトランスファ軌道から静止軌道への変換の損失について(その1)," 1982年6月.

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 続いて、一定と近似した推力方向の2つのパラメータも含めた4パラメータの最適解を求める事にした。上では、長時間噴射の場合もインパルス近似における推力方向を用いたが、その近似の妥当性を確認する事、将来のより高等な最適化手法を適用する際に参考になると思われる解の近傍の評価関数の調査が主な目的であった。この問題は、制約なし非線形計画問題であり、その解法は、評価関数の勾配を用いるものと関数値だけを用いるものとに分ける事ができる。インパルス近似の AEF 最適化の経験から、解の近傍に微分不連続な領域の存在が予想されたので、評価関数値だけを用いるシンプックス法を使う事にした。

c0011875_22535593.jpg
 4つの GTO に対してシンプレックス法で求めた解を、インパルス近似による解と比較したものを右の表に示す。推力方向の赤経の差の0.1度程度は問題にならないものであり、推力方向はインパルス近似解が使える事が判った。
 推力方向の赤経と赤緯を変えた時の静止時の衛星質量の変化をステレオグラムとして以下に示す。A が赤経を、D が赤緯を表わす。この図は、左図を右目で、右図を左目で見ると、立体に見えるように作っている。交差法である。なお、このステレオグラム作成ソフトは、広田正夫氏の作成による。

c0011875_2362785.jpg

 このステレオグラムから判るように、赤緯を変えて行くと、解を通る長い尾根に突き当たり、そこでは微分が不連続になっている。微分を利用する解法を使う時は、解の周りのこの状況を知っておく必要がある。加速度曲線の重心の時刻と増速量を変えた時の静止時の衛星質量のステレオグラムを以下に示す。これは、本記事の最初の等高線図と同種のものであり、解の周りに微分不連続はない。但し、解の点では微分は不連続である。
c0011875_23223266.jpg

 この検討を以下の資料にまとめた。
歌島, "二液式 ABM・RCS システムによるトランスファ軌道から静止軌道への変換の損失について(その2)," 1982年.
by utashima | 2005-06-19 00:00 | 宇宙機の軌道設計/ 解析 | Trackback | Comments(0)

Space Systems/Loral 社の大型静止衛星の将来の打上げ方法

 このブログの『最近の大きな静止衛星の情報』という記事に対して、kodama さんから、以下の論文を紹介して頂いた。ここに、論文の概要を紹介する。
Thomas M. Randolph and David Y. Oh, "Economic Benefit Analysis of Chemical-Electric Orbit Raising Missions," AIAA-2002-1980.
 通常の静止衛星の打上げ方法は、ロケットで GTO と呼ばれる長楕円軌道(遠地点高度がほぼ静止高度、近地点高度は数百km)に投入し、その後、衛星搭載の二液式推進系(比推力320秒程度)を使って、近地点高度を静止高度まで上げるものである。ロケットの射点が赤道近くにない場合は、近地点高度を上げる時に軌道傾斜角も0度に修正する。
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 この論文の方法は、最近、南北保持制御に使われている電気推進系を、静止軌道への投入段階でも使用しようというもの。巧く使えば、より重い静止衛星を投入できるし、その必要がない場合はコストを削減できる。電気推進系を使うと言っても、LEO から使う訳ではない。ロケットで静止高度よりも低い高度の遠地点を持つ長楕円軌道に投入する。そこでロケットから分離され、衛星搭載の二液式推進系で近地点高度を上げて円軌道にする。ここでは簡単のために、赤道から打ち上げるとする。この円軌道の高度は、放射線の影響を避けるためにバンアレン帯よりも高くする。約2万km以上を考えている。ここから、電気推進系の連続噴射により、静止軌道に登る。これらの軌道変換の模式図を右に示す。

 この論文の軌道投入法の特徴を以下に記す。
(1)ロケットから分離後の近地点の上昇は、従来の二液式推進系を使用する。
(2)静止軌道に到着するまでは、ミッション機器が要求する大電力を全て電気推進系に使用できる。
(3)電気推進系は、南北保持制御用のものを使用する。

c0011875_2346489.jpg 電気推進系を使い始める高度を約2万km~3.6万kmの範囲で変える事により、衛星のBOL質量を変える事ができ、静止までの日数も変わる。電気推進系の比推力は、その噴射日数当たりのBOL質量の増加が最大になるような値が望ましい。その最適な比推力は、ホール・スラスタの比推力に近いもの(1000秒前後)となる。
 アリアン5の通常の方法で打ち上げた時に約4100kgのBOL質量の時、80日間のホール・スラスタ噴射を使用すると、約4900kgのBOL質量となり、約800kgも重い衛星を静止軌道に投入できる。ホール・スラスタの噴射日数とBOL質量の増分とはほぼ比例関係にある。

 なお、論文には記されていないが、南北保持制御用のスラスタを流用する方法として、右図に示すようにスラスタを取り付けておけば、西面の2つを同時に噴射すれば、加速制御ができる。東面にも同様に2つのスラスタが付いている。ΔVの効率は約50%であるが、上記のBOL質量増分はそれも考慮した値である。数十日間の電気推進系による連続噴射の期間は、運用コストの低減のためにも衛星の自律運用が必要である。将来の大型の静止衛星の軌道投入は、この方法が良いと述べている。
by utashima | 2005-06-15 00:00 | 宇宙開発トピックス | Trackback | Comments(0)

『考える脳 考えるコンピューター』(Jeff Hawkins & Sandra Blakeslee著、伊藤文英訳)

 この本もいつも読んでいる科学雑誌の書籍紹介欄で見つけたもの。すぐに読みたくなった。著者のジェフ・ホーキンス氏はシリコン・バレーで最も成功したエンジニア/起業家の一人である。1992年にパームコンピューティング社、1998年にハンドスプリング社を設立し、現在はパームワン社のCTO(最高技術責任者)を務める。起業家として活躍するかたわら、脳の研究を進めて、2002年に記憶と認知の研究を専門とするレッドウッド神経科学研究所を設立している。

 長年の脳や神経系の研究により沢山の事が判って来た。コンピューターを利用した人工知能(AI)の研究やニューラル・ネットワークの研究なども進められ、機械による新皮質機能の実現も近いと思われた時期もあったが、現在は壁にぶち当たっている状況であろう。著者の言葉を引用すると、「飛行の原理が判っていない状態で、飛行機を作ろうとしていた」事になる。著者の目的は、人工的な脳(新皮質)を作る事である。そのためには、人間の脳の働きを理解しなければならない。但し、今までのように、データを集めるだけでは知能は理解できず、脳全体の理論を考える必要があると言う。著者は

「脳は、階層構造を持つ記憶システムである」
「知能の実現には、記憶に基づくモデルを使った予測が必要である」
「未来を予測する能力こそが知能の本質だ」
と言っている。

 本書の前半は、人間の新皮質の活動にとって、記憶が如何に本質的な役割を担っているか、予測が如何に重要かを、誰もが経験している事柄を例に挙げて説明している。脳はいろいろなシーケンスを記憶する。思い出す時も、ランダムに思い出す事はできず、実際の体験の時系列に沿って思い出す。これが脳の記憶と言うもの。

以下は、私の体験である。
●私は推理ドラマを良く見るが、ダメな刑事の聞き込みでは、有益な情報が得られず、名探偵が、相手が記憶を取り出し易いように話を誘導する事で、決定的な情報を得る場面がある。これなどは、人間の記憶の本質を理解した上での聞き方であろう。

●忘れ物をした時、私は忘れた場所などの範囲を絞り込んだ後、時間に沿って自分の行動を繰り返すか思い出して行くと、置き忘れた場所を思い出せる事がある。

●好きな曲を何度も聴いたものだ。すると、ある曲が終わると、自然と次の曲のメロディーが心に浮かぶ。以前から不思議に思っていた。この本によると、新皮質には、普遍の形で記憶されたものに、直前の入力を適用する事で、その先を予測する能力があると言う。

●階段を降りている時に時々経験するが、もう一段あると錯覚していて、実際にはもう降り切っている場合、足の感触が予想とずれて、はっとする事がある。人間の日常生活における全ての活動は、過去の経験に基づいたバックグラウンドでの予測作業により、実現されている。予測通りの場合は、本人は殆ど気付かない。

 本書の後半は、階層構造を持つ記憶システムがどのように実現され、予測はどのように行なわれているか等について、著者の考えが説明されている。後半は、難しく感じた。

 脳の新皮質は、哺乳類において現れたという。それ以前の生物は、新皮質以外の旧脳により活動している。単細胞生物や植物などは、記憶による予測ではなく、遺伝子による予測に基づいて行動する。従って、環境の変化に適用するには、DNAの進化を待つしかなかった。しかし、哺乳類は、1個体の記憶に基づいて活動が変化するため、環境などの変化に速やかに適応できた。著者が言うには、新皮質の進化は短い期間に急速に行なわれたため、現在の人間の脳が、知能の究極の形とは考え難いという。

 脳(新皮質)の記憶システムが解明され、半導体上に脳(新皮質)の機能を実現できるようになると、処理速度が人間のミリ秒の世界からナノ秒の世界に100万倍も速くなり、記憶容量も限界はなくなるため、人間よりもはるかに優れた脳機能が実現される可能性があるという。

 近い将来の実用分野として、以下の3つを挙げている。
(1)音声認識 (2)視覚情報処理 (3)自律走行自動車
20年位前になろうか、アメリカのテレビ番組(アクション探偵物)に、黒い自律走行自動車が登場するもの(Knight Rider)があった。人間とも会話ができ、人間以上に巧く運転する。こんな自動車が実現するかも知れない。
by utashima | 2005-06-13 22:02 | 読書 | Trackback(1) | Comments(1)

まだ会った事のない親戚(歌島さん)からの連絡(1)

 2005年6月12日(日)、このブログを開始した2004年12月12日から丁度半年に当たる日に、私の知らない「歌島」さんから、メールを頂いた。初めてである。その後、数回のメールの往復の後、私たちが親戚関係にある事が確認された。それも、比較的近い関係であった。このブログを開始した目的の一つが、まだ知らない「歌島」さんと知り合う事であったので、とても嬉しかった。ブログのタイトルに実名を入れたのも、そのためである。メールを送って下さった「歌島」様、どうも有難う御座いました。
by utashima | 2005-06-13 19:07 | 歌島姓・尾道 | Trackback | Comments(0)

最近の大きな静止衛星の情報

c0011875_2045074.jpg 今日、Spaceflightnow.com のサイトで、iPSTAR-1 という大型の静止衛星が7月7日にアリアン5 で打ち上げられる事を知った。右図が iPSTAR である。Space Systems/Loral (SS/L) が製造したもので、打上げ時の質量が6500kg、発生電力は 14kW である。これは、以下に記した 1300 シリーズの一つである。この記事を見て、最近の大きな静止衛星の規模はどの程度なのか、気になって調べてみた。

1. Space Systems/Loral (SS/L) の衛星
1300 シリーズ
 打上げ時の質量:~6700kg
 発生電力:5~18kW
 トランスポンダの数:~90
 ラジエーター:固定 又は 展開式
 推進系:二液式 又は 二液式+イオンエンジン

20.20 シリーズ
 打上げ時の質量:~8500kg
 発生電力:17~30kW
 トランスポンダの数:~150
 ラジエーター:展開式
 推進系:Ion propulsion and electric orbit-raising
「electric orbit-raising」というと、低軌道から静止軌道まで、低推力の電気推進系で軌道変換すると思われるが、本当なのだろうか。SS/L のホームページを調べてみたが、これ以上に詳しい情報は見つからなかった。

 
kodamaさんから有益なコメントを頂いた。AIAA 2002-1980 という2002年の講演会のアブストラクトに関連事項が載っているとの事。読んでみると、長楕円軌道でロケットから分離し、その後、衛星搭載の二液式推進系で近地点を、バンアレン帯(放射線帯)の高度よりも高い所まで上げる。そして、電気推進系で静止軌道にする、という事である。
(注)この論文の本文も読んだので、記事『Space Systems/Loral 社の大型静止衛星の将来の打上げ方法』に概要を記した。


2. Boeing Satellite Systems の衛星
702 シリーズ
 初号機は1999年に打ち上げられた。
 発生電力:~18kW

3. Lockheed Martin Space Systems Company の衛星
A2100シリーズ
 上の A2100シリーズのリンク先を見ると、1975年~2008年までの衛星開発の歴史が図示されている。日本の放送衛星 BS シリーズを製造した GE Astro Space は Lockheed Martin Space Systems Company に繋がっている事を知った。しかし、A2100 バスの性能範囲を明記した箇所を見つける事はできなかった。

Gunter's Space Page の A2100 の所を見ると、以下の事が記されていた。(A2100 のページを表示するには、Top page の左下にある QuickSearch の箱に A2100 と入れて Go をクリックするのが早い。)
 A2100A = 1 to 4 kW
 A2100AX =4 to x kW
 A2100AXX =x to y kW
ここの x, y の値は不明。A2100AX シリーズの中に、以下の日本の衛星もあった。
 JCSAT-9 : 2005年打上げ、打上げ時の質量=4500kg
 JCSAT-10: 2006年打上げ、打上げ時の質量=4500kg
A2100AX シリーズの打上げ時の最大質量は、約4700kgであった。
A2100AXX シリーズには Garuda 1, 2 という衛星のみが記してある。打上げ時の質量は4500kgであるが、発生電力は 14kW ある。直径12m の大型アンテナを2つ展開する。
 なお、A2100 シリーズには、A2100M という軍用衛星のシリーズもある。これは、まだこれからの打上げの様であるが、打上げ時の質量は 7000kg まで可能な様である。
by utashima | 2005-06-12 00:20 | 宇宙開発トピックス | Trackback | Comments(3)

TRMM の高度変動     1991年

 TRMM (Tropical Rainfall Measuring Mission, 熱帯降雨観測ミッション) は、日米共同プロジェクトであり、米国の主な分担は衛星の開発と運用、日本の主な分担は主観測装置である降雨レーダー(世界初)の開発と H2 ロケットによる打上げであった。

 1991年頃、降雨レーダーを開発していた NASDA のグループから、TRMM の運用中における高度変化の解析を依頼された。降雨レーダーは active センサーであるため、送信パルスが地表に届いてから衛星に帰って来るまでの時間がどの程度変化するかは、重要な事項である。大気抵抗による離心率ベクトルの変動解析を済ませていたので、その成果を使って、TRMM の高度変動の検討を行なった。

 TRMM は平均高度が 350km±1.25km の範囲に留まるように高度保持制御が行なわれねばならない。高度保持制御の際は、離心率ベクトルも凍結離心率ベクトルに一致するように軌道制御が行なわれるとした。そこで、高度保持制御直前の軌道と、直後の軌道に対して、1周の高度変化を解析した。1周の高度変化の計算には、以下の近似式を用いた。この式は、地球の扁平率の1次まで、地球重力ポテンシャルの J2 項の1次まで、離心率の1次まで、の近似を用いたもので、離心率が小さい軌道であれば、任意の傾斜角 i の軌道に対して使用できるものである。高度の誤差は数十mである。
c0011875_11225321.jpg
 ae は地球の赤道半径 (6378.136km)、J2 =1.082628e-3 である。この近似式の導出は、以下の資料に記した。
歌島, "略円軌道の高度の近似式," HE-90032, 1990年9月.

c0011875_11255167.jpg 高度保持制御直後の軌道は、軌道長半径=6378.136km+350km+1.25kmであり、離心率ベクトルは凍結状態の (e=0.000542, ω=90度)である。e=0.000542は、地球重力ポテンシャルの 8×8 まで考慮して GSFC が算出した値である。
 高度保持制御直前の軌道は、軌道長半径=6378.136km+350km1.25kmであり、離心率ベクトルは、右図に示した4通りの値を使用した。図中の円の半径 1.6e-4 は前述の「大気抵抗による離心率ベクトルの変動解析」で求めたもの。


 以下に、計5ケースの TRMM 軌道1周の高度変化を示す。横軸は、緯度引数 (radian) であり、左端が昇交点通過時である。北半球の飛行高度は低く、南半球は高い事が判る。
c0011875_11191456.jpg

 この解析は、以下の資料にまとめた。
歌島, "TRMM の高度変動の解析," HE-91069, 1991年8月.
by utashima | 2005-06-11 12:00 | 宇宙機の軌道設計/ 解析 | Trackback | Comments(0)