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3ヶ月ぶりに3段に昇段

 昨日までの今月の成績は、9勝6敗でちょうど勝率6割。私のルールでは、今日、対戦しなくても、明日からの6月は3段として対戦できる。もし、今日対戦して敗れれば、6月も2段。

 敢えて対局に臨んだ。相手は同じ2段。中盤に、相手の大きな地に打ち込んで生きた。その後、相手がお返しに私の地に打ち込んできたが、召し取った。中押し勝ち。明日から、3段として対戦する。今年は、1月と2月は3段、3月~5月が2段だったから、この半年は、2段と3段の時期が半分ずつ。明日からの1ヶ月、何とか勝率4割を超えて、3段に留まれるようにしたい。
by utashima | 2005-05-31 23:00 | 囲碁 | Trackback | Comments(0)

2トン級静止衛星の軌道保持精度の限界(南北方向保持)  1984年

c0011875_12105136.jpg 1984年頃、H2ロケットで2トン級の静止衛星を打ち上げる計画が進行していた。記事『2トン級静止衛星の軌道保持精度の限界(東西方向保持) 1984年』では、東西方向保持について記した。ここでは、1984年に同時に検討した南北方向保持について記す。南北方向保持には、イオン・エンジンを使用すると仮定した。
 南北方向保持を考える際には、静止軌道の軌道面が摂動によりどのように変化するかを把握しておく必要がある。図6は、以下の文献から引用した静止軌道の傾斜角ベクトルの変化図である。
広田正夫, "一般摂動法による静止軌道の軌道面及び離心率長周期解," NASDA TR-16, 1984年.
この図の横軸はp=i cosΩを、縦軸はq=i sinΩを表わし、それぞれ-0.3度~0.3度、-0.5度~0.5度の範囲を表示している。この図の原点が傾斜角0度の面を表わしている。
 この図は、右下の端点(1981年5月1日)から左上の端点(1982年4月30日)までの1年間の傾斜角ベクトルの変化を示している。両端点を結ぶ破線は年平均要素の変化を表わし、長い波長の変化は月平均要素の変化を、更に短い波長の変化は日平均要素の変化を表わしている。
 日平均要素が持つ半月周期項の振幅は約0.004度、月平均要素が持つ半年周期項の振幅は約0.023度である。年平均要素の変化方向は、白道面(月の軌道面)の黄道面に対する昇交点経度 N の周期(約18.6年)で変わり、図の縦軸からの最大離角は約9度である。また、年平均要素の変化の速さは、
  0.87+0.10 cos N (deg / 年)
で近似できる。


(1)公称保持範囲が約0.03度以上の場合
c0011875_15394961.jpg この場合は、半年周期項と半月周期項を取り除く必要がないので、年平均要素の変化だけをイオン・エンジンでキャンセルすれば良い。このキャンセルが正確になされれば、傾斜角ベクトルは図7に示したように変化する。しかし、一般には推力誤差があり、図7の円運動に上下方向の動きが加わる。イオン・エンジンの推力に10%の変動を考えると、この円は約0.00024度/日の速さで上又は下に移動する。すると、公称保持範囲を iL (deg)とすると、次のT1(日)毎にイオン・エンジンの噴射時間を見直す事になる。
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δid は傾斜角の軌道決定誤差であり、0.002度とした。これを以下の図8に示した。

(2)公称保持範囲が約0.01度~0.03度の場合
 この場合は、半年周期項も取り除く必要があり、制御位置と制御量を約1ヶ月毎に修正しなければならない。月平均の傾斜角ベクトルの最大変化率は約0.0032deg/日であり、イオン・エンジンの推力誤差を10%考慮すると、噴射時間の見直し周期T2(日)は次式となる。但し、半年周期項に追従するため、約30日が上限である。
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これも、図8に描いた。c0011875_1694818.jpg
 南北方向保持の範囲も、東西方向保持の限界である±0.02度までと考えると、制御計画の見直し周期は約1ヶ月以上となる。
 最後に、南北保持制御時刻が蝕にかかる事は通常はない事を記しておく。蝕の時の太陽の赤経は約0度又は180度であるのに対し、南北保持制御時の衛星位置の赤経は約90度又は270度だからである。電源の心配をする事なく、イオン・エンジンの噴射が出来る。

 以上のことを、以下の資料にまとめた。
歌島, "2トン級静止衛星の軌道保持の精度上の限界の検討," TK-M95108, 1984年.
by utashima | 2005-05-30 00:00 | 宇宙機の軌道設計/ 解析 | Trackback | Comments(0)

『複雑な世界、単純な法則』 マーク・ブキャナン著

 新聞の読書欄でこの本の紹介文を読み、すぐに近所の書店で購入した。本の最初に、世界中の任意の二人を繋ぐのに、間に6人の人がいれば良い事が、幾つかの実験によって明らかにされた事が書かれていた。この事は、驚きだった。このような比較的少ない (数個) リンクで、どのノードとも繋がるネットワークを、Small World Network (以下、SWNet と略す) というらしい。自然界の生態系のリンクや伝染病の感染、人間の世界の経済活動、これらは全て SWNet になっているらしい。

 SWNet には2つの種類がある。平等主義的ネットワークと貴族主義的ネットワーク。前者は、基本的に個々のノードは全てほぼ同じリンク数を持ち、例外的なノードだけが長距離リンクも持つ。後者は、多いリンク数を持つノードほど、その数が少ないネットワークであり、リンク数とノード数を対数表示すると直線関係となる「べき乗則」に従う。貴族主義的ネットワークは、インターネットやウェブサイト網などがそうであり、特別なコントロールをしなければ、この種のネットワークになるようだ。2種類のネットワークに対して、外部からの攻撃や、個々のノードの異常に対する強さも検討されている。

 この本は、冒頭から読者を巧く引き込んでいる。この後に凄い成果・結論が書かれているのでは、と期待しつつ読んだが、簡単に紹介するのは困難なのかも知れないが、期待はずれだった。でも、期待が大き過ぎたからであろう。全く平等な個人の集まりの社会で経済活動を行なっても、金持ちは益々金持ちになるという結果が得られている等、興味深い。税のシステムは、この傾向を緩和する効果がある。個々のノード間の相互作用に着目した物理学者に有名なランダウがいる。彼は、ソ連の秘密警察に捕まり、処刑される可能性もあったとか。
by utashima | 2005-05-28 15:42 | 読書 | Trackback | Comments(0)

2トン級静止衛星の軌道保持精度の限界(東西方向保持)  1984年

c0011875_033923.jpg 1984年頃、H2ロケットで2トン級の静止衛星を打ち上げる計画が進行していた。静止衛星の軌道保持範囲は、一般に狭くなる傾向にあるが、衛星の要求電力の増大により太陽電池パドルは大きくなり、それが輻射圧の影響の増大を招き、直下点経度の日変化を大きくするため、保持範囲の縮小化にマイナスに作用する。そこで、追跡管制システムはそのまま(国内局からのレンジ・レンジレートを使用)と仮定して、軌道保持精度の限界を検討した。東西方向の軌道保持には1液式ヒドラジン・スラスタを使うと仮定した。
 東西方向の保持では、軌道の接線方向に速度変化を与えて、軌道長半径aと離心率ベクトルを制御する。衛星の断面積/質量 比 (S/M)の小さい衛星では、輻射圧の影響が小さいため、aを制御する時に離心率ベクトルの変化に都合の良い時刻を選んで制御する1part 方式を採用できる。S/M が大きくなると、輻射圧の影響が大きくなり、a の制御の他に離心率ベクトルを制御するための余分な制御が必要となる。その方法として、2part 方式と 3part 方式を検討した。右に、これら3方式の、離心率ベクトル平面と経度-ドリフトレート平面における変化を示した。
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 摂動は、地球重力ポテンシャルと太陽輻射圧を考慮した。保持範囲を解析する場合、色々な要因による誤差を考慮する必要がある。この検討では、以下の誤差を考慮した。

(1)軌道長半径の軌道決定誤差:20m
(2)直下点経度の軌道決定誤差:0.002度
(3)計画ソフトの経度伝播誤差 :0.002度/月
(4)保持制御誤差 :5%

保持する静止衛星としては、経度135度に静止する通信衛星と110度に静止する放送衛星を対象とした。衛星質量はどちらも2000kgとし、衛星の断面積は、74m2と129m2を仮定した。一般に、放送衛星の方が必要な電力が大きいので、太陽電池パドルが大きくなるため、断面積を大きく設定した。

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 放送衛星の場合の各保持方式での可能な保持精度の結果を右の図に示す。この図から以下の事が言える。

(1)公称保持範囲が±0.1度以上は 1part 方式で良い。
(2)公称保持範囲が±0.02~±0.1度では、2, 3part 方式が必要である。
(3)公称保持範囲が±0.02度以下は困難である。

 以上のことを、以下の資料にまとめた。
歌島, "2トン級静止衛星の軌道保持の精度上の限界の検討," TK-M95108, 1984年.


 最近の静止衛星の保持範囲については、『静止衛星の打ち上げから寿命後まで』というサイトに、以下のように書かれています。
運用の実際と静止軌道上の位置精度
・・・静止衛星の軌道維持精度は、緯度・経度方向に対し±0.1゜となっています。・・・
 現在では、BS デジタル機・アナログ機に加え、CS110゜と呼ばれる衛星も加わり、現用機だけでも三機体制となっています。この三機体制の実現には、先のエリアをさらに経度方向に三分割し、それぞれ約 0.06゜の以内に各々の軌道を維持することで実現しています。・・・
 0.06度の範囲という事は、±0.03度という事なので、1984年の解析で限界と考えていた±0.02度にかなり接近している事が判る。
by utashima | 2005-05-27 21:34 | 宇宙機の軌道設計/ 解析 | Trackback | Comments(0)

L1, L2 点間の弾道飛行  1995年

c0011875_1412324.jpg 2004年9月、Utah Test and Training Range の上空に、GENESIS のカプセルが帰還して来た。予定では、パラシュートが開いてゆっくり降下している時に、ヘリコプターで回収する事になっていた。しかし、パラシュートが開かず、地上に突っ込んで来た。幸い、カプセルの損傷は致命的なものではなかったようで、中の貴重な太陽風のサンプルは、殆どが解析に使えるとの事。地上に落下した暫く後、パラシュートが開かずにかなり速い周期の回転をしながら落ちてくる動画が配信されていたのを覚えている。


c0011875_1852137.jpg この GENESIS は、太陽から飛んでくる微小な物質を捉えて地上に持ち帰り、実験室で詳細な分析をするミッションであった。その飛行経路は極めて特殊なものであった。それを右上図に示す。左側の L1 点回りのハロー軌道を約2年間飛行し、その間に太陽からの微小物質を捉えた。太陽からのサンプルを収集中の GENESIS のイメージ図を右に示す。その収集を終えると、微小な ΔV を使ってハロー軌道から離脱して右側の L2 点の周りを1回大きく回って、地球に帰還して来た。右側の L2 点回りの部分が何故必要かは、最近判った。パラシュートで落下して来る時にヘリコプターで回収するには、昼間にカプセルが再突入して来る必要があった。L1 点から直接、昼間の地球に帰還させるには、大きな ΔV が必要となり、ミッションが成立しなかったようである。

 この GENESIS の軌道設計には、1990年代に検討が進められた Dynamical Systems Theory (力学系理論) の成果が利用されている。L1, L2 点の周りには、安定多様体、不安定多様体と呼ばれる軌道群が存在し、その性質を使うと、L1, L2 点の間の燃料を殆ど必要としない飛行が可能となる。

 1995年頃、火星の衛星のフォボスの L1, L2 点間を飛行する軌道の設計を行なった。火星-フォボス系の L1, L2 点は、フォボス表面から 5km 余りの高度に存在する。L1, L2 点周りの軌道でなく、L1, L2 点そのものの間の飛行を扱った。この頃は、 Dynamical Systems Theory をまだ知らず、初期条件を色々と手探りで変えて移行軌道の初期値を作った。その後は、微分修正法で収束させた。太陽-地球系の場合との大きな違いは、火星-フォボス系の場合には、L1, L2 点間の空間の殆どを、フォボス自身が占めている事である。そのため、フォボスとの衝突が容易に起こり得る。因みに、右上のGENESISの軌道図の中心にスケールを合わせたフォボスを置いてみると、この軌道では、フォボスに衝突すると思われる。

 試行錯誤で初期軌道を求め、その後、微分修正法で収束させた、 L1 点から L2 点にフォボスの南極上空を通過して飛行する軌道図を以下に2つ示す。一つは対称な形状の軌道、もう一つは非対称な形状の軌道である。これらは平面図と立面図を重ね描きしている。
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対称な軌道図には、フォボスの断面形も描いた。これを避けて L1 点から L2 点に飛行しなければならない。以下の図にL1点からL2点への複数の移行ルートを模式図的に描いたが、第1ルートが、上の非対称な軌道である。螺旋形状の軌道となっている。
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これらの軌道の詳細は、以下の報告書に記した。
歌島, "作用圏境界を飛行する軌道の力学的性質と小衛星探査への応用," NASDA-TMR-010007, 2001年.
 
by utashima | 2005-05-24 00:09 | 宇宙機の軌道設計/ 解析 | Trackback | Comments(0)

エキサイト・ブログで、図のアップができない事態に

 本日の午前から、このエキサイト・ブログにおいて、画像(JPG, GIF) のアップができない状態が続いている。エキサイト・ブログでは、サイト側とユーザーとの間の連絡などのために、専用の連絡用ブログが用意されている。昼前からその連絡用ブログを見ると、コメント欄に多数の「画像をアップできない。・・・・」というコメントが来ている。私も記入した。16時30分現在、サイト側からの反応はない。土日は、サイト運営側は、誰も連絡用ブログを見ていないのだろうか。土日に記事をアップするユーザーは多い筈。運営側の定休日は、土日を避ける位の配慮が欲しいと思うのは私だけだろうか。
by utashima | 2005-05-22 16:37 | 最近考えている事 | Trackback | Comments(0)

EarthQuake 3Dソフト

c0011875_12453097.jpg 今年の2月に「窓の杜ニュース」で EarthQuake 3D というフリーソフトを知った。過去1週間以内に発生した世界各地の地震を3D地球儀上に表示するもの。米国の国立地震情報センター(NEIC)がWeb公開している最新の地震データを読み込み、地震のマグニチュードの数値とそれに応じた大きさの同心円を、発生した地域の上に表示。同心円の色は、地震の発生日時が新しいほど白く描かれる。

 右の図は、今日(2005年5月21日)実行した画面。これは過去1週間のマグニチュード約5以上の地震だけを表示した。 環太平洋地震帯で地震が多い事が判る。 それと、スマトラ沖地震が起きた辺りで、いまだに地震が続いているのが判る。日本付近も地震列島の面目躍如の多さ。
by utashima | 2005-05-21 12:45 | パソコン | Trackback | Comments(5)

日米の地震に関するホームページの公開

c0011875_9565480.jpg 最近、日本と米国でほぼ同じ頃に、地震に関するホームページが公開された。日本のものは、2005年3月23日に公表された防災科学技術研究所の「地震ハザードステーション J-SHIS」である。その中で「全国を概観した地震動予測地図」が公開されている。右の地図は、30年以内に震度6弱以上の地震動が発生する確率を表わしている。赤は26%~100%、オレンジが6%~26%、黄緑は0.1%以下である。東北地方と九州地方を除く太平洋岸は、確率が大きい事が分かる。図は関心のある地点を中心に拡大でき、私の住んでいるつくば市は、6%~26%の確率であった。また、断層帯がどこを走っているかも表示する事ができる。つくば市付近には幸いにも断層帯はなかった。未発見のものがあるのかも知れないが。この地図は30年以内の確率を表示しているが、このシステムでは、30年と50年の指定ができる。


c0011875_10102227.jpg 米国のものは、米地質調査所(USGS)が2005年5月18日(米国時間)に公開した、カリフォルニア州の地震予報地図。24時間以内に強い揺れの地震が発生する確率を、色分けして表示。何と、データは1時間に1回以上の頻度で更新されるらしい。右の図は、5月20日~21日の24時間の間に日本の震度で4以上の揺れが発生する確率を表示している。所々にある黄緑色の地域は、1/1000~1/100位であろうか。クリックすると拡大表示になる。

 また、UCLAの研究グループは新しい地震予知法を開発して、最近、幾つかの9ヶ月以内に起きる地震の予知に成功しているという。

 日本のものは数十年間の確率を公開したものだが、カリフォルニアのUSGSのシステムは、地域毎の24時間の地震予知という一歩踏み込んだもの。9ヶ月以内に起きる地震が予知されたとして、引っ越す訳には行かず、様子をみるしかない。しかし、24時間以内の地震予知が大きな確率をはじき出したとしたら、確率の低い地域に避難する事になろうか。
by utashima | 2005-05-21 09:56 | パソコン | Trackback(2) | Comments(0)

NASA の Total Solar Irradiance の観測 

 今日の JPL からのメール・ニュースが、NASA の AcrimSat という、太陽からの放射エネルギーを正確に観測する衛星が、5年間のミッションを達成したと報じた。現在、地球温暖化が心配されている。その原因として、人類の経済活動等による CO2 等の温暖化ガスの増加が挙げられ、温暖化ガスの放出を世界レベルで抑制する事が進められている。一方、地球温暖化は、人類の活動だけが原因ではなく、太陽活動や更に遠い所(銀河系)からの影響も無視できないとも言われている。

 JPL のホームページによると、NASA は1970年代後半から、幾つかの衛星(Nimbus 7, SMM, UARS 等)にこのための観測装置を搭載して、観測を継続している。SMM に搭載された ACRIM I (Active Cavity Radiometer Irradiance Monitor) が最初に、太陽からの放射が定数ではない事を明らかにしたそうだ。太陽から放射されるエネルギーの0.5%の増減が1世紀以上続くと、地球の気候に非常に大きな影響を与えるらしい。
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 JPL のホームページに、今までに観測された太陽からの放射エネルギーのデータが公開されている。右図がその一つである。11年周期の太陽活動の激しさの影響が明確に現れている。更に、観測機器による値の違いも大きい事が判る。このようなデータから、長期間の小さい放射エネルギーの変動を把握するのは大変であろう。このような科学観測を着実に行なって来ているのは、流石に NASA だと感心する。
by utashima | 2005-05-21 08:31 | 宇宙開発トピックス | Trackback | Comments(0)

2ホーマン軌道変換と無限小推力軌道変換のΔV比  1989年

 1989年頃、同じ面内にある二つの円軌道間の軌道変換を、インパルス的な2ホーマン軌道変換で行なう場合と無限小推力の連続制御で行なう場合の、ΔVの比を調べてみた。この頃、どんな必要性があったのか、当時のメモには何も書いてないので判らない。2002年以降に検討した太陽発電衛星(SSPS)のLEOからGEOへの軌道変換には関係している。現在の静止衛星の打上げでは、2ホーマン軌道変換が使われているが、SSPSの検討では、推力の小さい電気推進系の連続噴射でGEOに行く事を考えている。SSPSでは、打上げ場所を赤道直下に作ると想定しており、1989年に検討した条件(同一面内の円軌道から円軌道への変換)に一致する。

 二つの円軌道の半径の比が与えられた時に、両方式のΔV比がどのようになるかを検討する。c0011875_204927100.jpg
[1]2ホーマン軌道変換の場合(図1参照)
 エネルギー保存則を使うと、2ホーマン軌道変換で必要な ΔVH = ΔV1+ΔV2 は次式で表わされる。μは中心天体の重力定数である。
c0011875_2055031.jpg

C=r2/r1を導入すると、上の式は、以下の様になる。
c0011875_20565020.jpg
 

[2]無限小推力の連続制御の場合
 この場合は、以下の簡単な式で、必要なΔVを表現できる。
c0011875_2126614.jpg

 この式の最初の等号が成り立つ事は、以下の論文に示されている。
T.N.Edelbaum, "Theory of Maxima and Minima," Chapter 1 of 'Optimization Techniques' (G.Leitmann, Ed.), Academic Press, New York, 1962.

[3]両者のΔVの比
 [1]と[2]のΔVの比は、次式で表される。
c0011875_21395945.jpg
c0011875_21474070.jpg


 
 右の図は、Cを対数で表示したグラフである。C が 0 又は∞に接近すると、ΔV 比は、2.414に接近する。












c0011875_2243099.jpg
 C の範囲を、0.1~10 に拡大した図を右に示す。赤線は、高度300kmの LEO から GEO まで行く場合である。 ΔV 比は、約1.2である。しかし、電気推進系の比推力は3000秒位あり、化学推進系の比推力を液酸液水の450秒としても、軌道変換に要する燃料質量は電気推進系が化学推進系の1/4で済む。

[補足(2014年1月8日)]
 GTOからGEOへの軌道遷移では、電気推進系でのΔVとインパルス近似ΔVとの比は、約1.5となる。
by utashima | 2005-05-20 00:44 | 宇宙機の軌道設計/ 解析 | Trackback | Comments(0)