ランドサット3号のBrouwer平均要素の解析 1983年

 今までに私が行なった解析の中で、記憶に特に残っているものが幾つかある。以下の資料は、その内の一つである。
歌島, 広田, "ランドサット3号の平均軌道要素について," TK-M95102, 1984年6月.

 この資料を書いたのは、我が国初の地球観測衛星 MOS-1 が打ち上がる3年余り前である。当時 NASDA (現在は JAXA となっている)は、自前の地球観測衛星がまだ無かったため、米国のランドサット衛星のデータを、埼玉県比企郡鳩山町の地球観測センターで受信し処理をしていた。そこに勤務されていたE氏から、「NASA から送られて来るランドサット3号の平均軌道要素がちょっと変なので調べて欲しい」との依頼があった。

 NASA からは Brouwer 平均要素と接触の位置・速度ベクトルとが送られて来ていた。Brouwer 平均要素の軌道長半径をプロットしてみると、100m 近い振幅の変動があり、あまり精度の良い平均要素ではない。そこで、E氏は、更に高次の重力ポテンシャル項による短周期変動を引いて、高精度の平均軌道長半径を求めようとされていた。

 その頃、私と広田氏は、MOS-1 打上げに備えて、精度の良い平均軌道長半径を算出するソフトを完成させていた。NASA から来る Brouwer 平均要素の定義が不明確だったので、定義の明確な接触の位置・速度ベクトルを出発点にして調査して行った。その結果、我々の開発したソフトを使う事で、精度の良い平均軌道長半径が得られる事が確認された。下の図はBrouwer 平均長半径(赤色)、我々の考案したソフトによる平均長半径(青色)などを描いたもの。縦軸の1目盛りは 14m である。青線は MOS-1 用の係数で計算したが、ランドサット3号用の係数を作って計算すれば更に精度は向上する。
c0011875_1515355.jpg

Brouwer 平均要素の離心率ベクトルが通常とは異なる定義になっている事なども判明した。我々の開発したソフトが十分に役立つ事を、MOS-1 が上がる前に実感できたのは大きかった。
by utashima | 2005-02-03 16:37 | 宇宙機の軌道設計/ 解析 | Trackback | Comments(0)
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