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『大統領の陰謀』をやっと読み終えた

『大統領の陰謀』(ボブ・ウッドワード、カール・バーンスタイン著、常盤新平訳)をやっと読み終えた。数ヶ月前に読んだケネディ大統領暗殺についての本に、ウォーターゲート事件の事も触れられていたので、読んでみようと思っていた。ウォーターゲート事件は、1972年6月17日に首都ワシントンのウォーターゲート・ビルの民主党本部への不法侵入者が現行犯で逮捕された事件が発端。その時から、1974年にニクソン大統領を辞任に追い込むまでのワシントン・ポスト紙の二人の記者の話である。慣れない外国人のカタカナの名前が沢山登場し、初めのうちは読み難かった。本の冒頭に、主な登場人物(52人もいる)の名前と立場(大統領補佐官とかFBI長官とか)が記されており、頻繁に参照しながら読んだ。1/3 位進むと、探偵小説を読んでいるような面白さを感じるようになった。架空の物語でなく、実際に起きた事柄である。

 ウォーターゲート事件が起き、調査が進められた1972年~1974年は、私は大学3年~大学院1年であった。その頃は、好きな飛行機の授業がまだ行なわれない教養部(入学から1.5年間)をやっと終えて、その飛行機の勉強をやれるとても幸せな時であり、それに没頭していた。ウォーターゲートという言葉は当時、テレビや新聞で見聞きしていたが、全く関心が無かった。教養部の頃にまだ盛んだった学生運動を見ていた影響もあり、政治問題からは遠ざかろうとしていた。従って、当時のアメリカでどのようにしてウォーターゲート事件の真相が暴露されてきたのか、この本を読むまで全く知らなかった。今でも政治問題に関与する積もりはないが、何があったのか、権力を握った者たちは時としてどのような悪事を働くのかは、知っておきたいと思うようになった。

 この事件の解決に重要な役割を果たしたのは、本書の中で「ディープ・スロート」と呼ばれている政府高官の内部告発である。これが誰なのか長い間謎であったが、2005年5月31日に、当時の連邦捜査局(FBI)副長官だったマーク・フェルト氏が自分がディープ・スロートであったことを公表している。たった1年半前の事である。主人公のワシントン・ポスト紙の記者の一人がディープ・スロートと接触する方法は、まるで映画の場面のようであった。当初は、電話で話をしていたが、捜査が進むにつれて、慎重に会うようになる。記者がディープ・スロートに会いたい場合、自分のマンションのベランダに合図を出す。ディープ・スロートは毎日そこを見ることができ、合図があれば、深夜の 2時に前もって決めている地下の駐車場で会う。記者がその駐車場に行くのも、直接行くのではなく、尾行を警戒して、タクシーを 2回以上乗り換えて行くなどの方法を取っていた。ディープ・スロートからの情報は、ヒントに過ぎず、2人の記者は確認のために色々な人に接触して確実な情報を増やして行く。捜査も終盤になった時、ディープ・スロートから、二人の記者の命が危ないという情報を得る。当然、記者の自宅やワシントン・ポスト社の社内は盗聴の危険がある。紙に書いて打合せをしたり、外に出て話をしたり、といった期間が数日程度あったようだ。正に、ニクソン大統領とワシントン・ポストの戦いだった。

 この本には、『最後の日々』という続編がある。ネットで検索してみたが、残念ながら絶版になっていた。
by utashima | 2006-12-11 23:44 | 読書 | Trackback | Comments(0)


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