太陽同期準回帰軌道の力学 第2版   1986年

 1987年2月に日本初の本格的な地球観測衛星である MOS-1 (Marine Observation Satellite-1, 海洋観測衛星)が打ち上げられた。その打上げの1年前に、我々(私、広田正夫氏、田中彰氏)は社内資料『太陽同期準回帰軌道の力学 第2版』を発行した。

 この資料は、1983年に発行していた同名の初版を改訂したものである。我々は、MOS-1 の軌道投入制御ソフトと軌道保持制御ソフトの開発を担当しており、初版はソフトハウスに委託する前の内部検討成果をまとめたものであった。この第2版はソフトの開発段階で得られた成果なども反映して改訂したものである。

 この資料には2つの大きな成果が含まれている。1つは、指定された地上軌跡に一致するミッション軌道を実現するための軌道制御シーケンス作成法である。これは、この約10年前に広田氏と田中氏が考案した静止衛星の静止化シーケンス作成法を極軌道に応用したものである。もう一つは、軌道計画の作成を、精度を落とさずに高速に実施するための平均法による軌道生成法である。これも静止軌道用に我々が考案したものの極軌道版である。

 このような準備を経て、1987年2月に MOS-1 は無事打ち上げられ、ミッションを達成した。私は、1986年10月から1年間、NASA ジェット推進研究所に海外研修に行っており、MOS-1 が撮影した富士山の画像を郵便で受け取った記憶がある。当時は、インターネットという便利なものは無く、殆ど郵便だけが日本からの便りであった。

 この資料の中で、私がしばしば利用するチャート(広田正夫氏の作成)を以下に紹介する。これは、太陽同期準回帰軌道の高度、傾斜角、1日当たりの周回数の3つの関係を表わしたものである。これらのどれか一つを指定すると、太陽同期準回帰軌道が決まる。
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by utashima | 2005-09-14 20:42 | 宇宙機の軌道設計/ 解析 | Trackback | Comments(1)
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