ここ数年(再雇用期間)を振り返ると、私の過去の検討成果が役立っている事が多い。火星衛星探査(フォボス探査)、ETS-9のorbit-raising、SLATSの大気密度推定など。
(1)
火星衛星(フォボス)探査:20年以上前の1990年代に国内の研究者達と検討していた。
(2)
ETS-9のorbit-raising:SSPSの軌道間輸送の観点で検討した。NASDA入社当時から解析したいテーマだった。実際に解析できたのは、2000年頃なので、15年位前。
(3)
高精度の平均軌道長半径:SLATSの大気密度推定に利用する。これは1980年代前半に日本初の地球観測衛星MOS-1のために広田氏と共に開発したソフト。30年前の成果。
JAXAにおいて、常に10年先、20年先を目指した研究をせよと言われている。
上記の(1),(2)はすぐに実現できるとは当時から思っていなかったが、必要なテーマだと思い、興味があり、私にも出来そうだと思ったので取り組んだ。研究資金は殆ど貰っていない。普通のPCと、色々な研究者達との交流のできる時間と旅費で充分だった。
(3)は目前のミッションであったMOS-1の運用を効率的に行なうための機能として考えたもの。その数年前に行なった静止衛星の軌道保持ソフトの自作が大きく役立っている。この技術が30年後にも役立ちそうだという事は驚きである。
私の過去の成果が、(1)〜(3)などで役立ちそうだとなったのは、60歳で定年退職した後。今は再雇用の4年目であり、20年〜30年前の自作資料や自作ソフトを提供しながら、検討に参加し、生き甲斐のある日々を送っている。もし、60歳で完全にJAXAから退職していると、このような経験はできなかったであろう。