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NASA の STEREO ミッションの軌道投入法

NASA の STEREO ミッションの軌道投入法_c0011875_20131043.jpg 私たちが L5 ミッションの検討を行なっていた頃(およそ1998年~2000年)、NASA は 同種のSTEREO ミッションの検討を進めていた。ここ数年は、STEREO ミッションのサイトを見ていなかった。もう、そろそろ打ち上げられる頃ではないかと思い、ホームページを覗いてみた。

 STEREO ミッションは、右図のように、黄道面内を飛行する2機の宇宙機を使って左右両側から太陽を観測するミッションであり、2機の宇宙機の離角は時間と共に少しずつ広がって行く。約2年間のミッションである。右図のSTEREO宇宙機の位置は、打上げから約2年後のものである。2006年2月に打上げがセットされていた。デルタ7925で2機同時に打ち上げられる。

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 面白いのは、軌道投入法である。1機を地球の前方に投入し、別の1機は地球の後方に投入する必要がある。1997年頃には、デルタ・ロケットで2機同時に打ち上げる案の他に、小さいロケットで1機ずつ打ち上げる案、スペース・シャトルで打ち上げる案など、色々な案が検討されていた。1997年頃のデルタ・ロケットで2機同時に打ち上げる案では、(a)1機は低軌道で分離して自前の推進系で地球脱出させ、残り1機をロケットの第3段で地球脱出させる案や、(b)2機とも低軌道でロケットから分離し、それぞれ自前の推進系で地球脱出する案、などが記されていた。

 STEREOチームが採用した方法は、以下のような世界初の方法である。2つの宇宙機を同じ長楕円軌道に投入する。2ヵ月後位に共に月swingbyをし、エネルギーを得る。その際、2機の宇宙機の月最接近高度を変えておき、1方はswingby後にそのまま地球軌道の外側に出る。別の宇宙機は再び地球の方に戻って来て、月と2回目のswingbyをし、地球軌道の内側に向う。右に、模式図的に投入軌道を示した。STEREOのホームページに、軌道投入のムービーがある。面白い方法を考えるものである。
by utashima | 2005-06-03 21:00 | 宇宙開発トピックス | Trackback | Comments(0)


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